改訂増補 南極読本

 平成25年(2013)に初版、26年に重版が出版された「南極読本」の改訂増補版が出版された。旧版の章立て解説頁を大幅に改訂するとともに、新たに記述された「観測トピックス」が組み入れられた、南極自然を解説した各章、コラムの記述、資料は旧版に読者から寄せられた要望、意見を参考に修正、補足が加えれられている、また、最近の南極大気科学の中心課題となっている「大気エアロゾル」の章が新たに加えられている。

 改訂増補版で特記すべきは旧版にあったQ/A形式の「南極セミナー」を削除し、「観測トピックス」に換えたことである。「南極読本」は基本的には南極自然の解説(章立て)で構成されており、幅広い読者層を想定し、南極観測における個々の研究成果の詳述は避けている。南極観測60周年記念企画として、わが国南極観測が研究分野毎の共同観測から成り立っていることに鑑み、主な共同観測・研究成果の紹介を目的に、当初は独立した出版物を企画したが、諸般の事情によりその実現が困難なため、本改訂増補版に組み入れられている。その結果、本書の書名は旧版を踏襲しているが、内容は新規の出版に近いものになっている。

(渡辺興亜,会報39号)