本書は絶版となっております。「改訂増補 南極読本」をお買い求めください。
日本南極観測隊の活動成果を分かりやすく解説するために、南極OB会メンバーによって執筆・編集された南極の本が「南極読本」と題して出版された。
従来の南極本と違うところは、単に南極観測の科学的側面だけではなく、南極観測を理解するためには欠かせない設営や輸送、昭和基地での生活、南極条約のことや環境保全のことなど、広く南極全般について解説されているところにある。執筆にあたっては、専門に偏することなくできるだけ平易に、図や写真を沢山使って解説され、誰にでも理解できるようにと努力がされているのが嬉しい。
本書は17章に亘る「解説」と各章の解説を掘り下げ、重要事項の理解を助けるためのQ&A形式の「南極セミナー」、及び科学と設営、歴史に分けて収集され、各分野の全体像を「キーワード」を用いて提示されている「知識の体系:キーワーズ表」の三部から構成されている。章立てに含むことができなかった大事な事項については、解説の合間に挿入された14篇のコラムが補っている。
本書は南極に関心を持つ一般の人々への優れた啓蒙書であると同時に、時々「南極の話」をせがまれる我々OBにとっても、南極に関する最新の情報を広く一通りお浚いすることができるという点で、大変便利な本にもなっている。一読をお勧めしたい。
(山田知充, 会報29号)